キャンドル作家 Progressive Candle 福井優子さん

「プログレ」
北の大地にはキャンドルライトがよく似合う。
Progressive Candleのブランド名で札幌スタイル認証製品「フロストピラー」を作り続ける福井優子さんは、いまや北海道を代表するキャンドル作家だ。夏場はバイクに荷物を積んでツーリングに出かけることもあるほどかなりアウトドア派でもある。音楽はYes などのいわゆる「プログレ」ジャンルをよく聴いていたこともあり、この「前進」「進歩」を意味するProgressiveを取り入れた屋号に決めた。ここにも彼女の少しでも前へと積極的に行動していく姿勢を感じることができる。

「雪のブルー」
福井さんの作るキャンドルにはテーマカラーがある。雪のブルー。先のフロストピラーの様々な青は、雪国北海道であるからこそ生まれた色であるともいえるのだ。「雪は白いもの」そう誰もが思うが、彼女はそこで育ったからこその、雪に「色」があるという感覚を持っている。降り積もった雪に光が透過して、かすかにブルーに見えるあの色。透明感を伴い完全な白とも青とも違うあの淡い青色。それを子供のころに福井さんは自ら「発見」したのだった。
その強い印象はその後キャンドル制作をする上での彼女のキーカラーとなっている。蝋という素材がもつ雪に似た透明感が彼女の「雪の青」を表現するうえで非常に効果的なのは言うまでもない。熱によって溶けていくという性質もどことなく雪をイメージさせるのは偶然だろうか。これらが相まって福井ワールドが出来上がっているのだろう。

「てんかい」
今ではキャンドル作家として多方面で活躍されている福井さんだが、元はただキャンドルが醸しだす世界が好きで国内外のキャンドルを集めている収集家に過ぎなかったという。キャンドルに火を灯した時に広がる何ともいえない美しさ。その世界観に魅了されたという。
そして、半ば押しかけと、幸運にも恵まれて市内にあるキャンドル制作工房に就職してしまう。接客以外はほぼ一日中キャンドルを作る作業に集中していたという。ここで様々な技術とノウハウを身につけていった。そして2000年に今ではあまりにも有名なフロストピラーが完成する。

実は福井さんは、フロストピラーや北海道をイメージさせる作品の他に、例えばどうぶつシリーズや和菓子のお菓子シリーズなどあらゆるものをキャンドルとして試しているという。教えているキャンドル教室ではビールのキャンドルも作ることがあるほどだ。彼女の確かな腕があればこそだ。
初めは勤め先や比較的小さなギャラリーショップでしか販売していなかったという。だが、2006年の札幌スタイル認証以降環境が大きく変わり、メディアからの取材や、問い合わせが増えていく。札幌スタイルメンバーの澪工房とのコラボ企画でキャンドルを置くプレートを制作してもらった。雪をイメージさせる人工大理石と素材にぬくもりのある木を使ったものだ。こうした異業種工房同士で様々な企画ができることも札幌スタイルに認証されたからこそである。

「こだわり」
福井さんが作るキャンドルは非常に綺麗で透明感がある。火を灯さずとも十分に部屋に飾っておきたくなるほどだ。ただ、「是非火を灯してみてほしいです」と彼女は言う。彼女はキャンドルを制作する際にはその燃え方や火が灯った状態の作品の佇まいまでもこだわって作っていくという。キャンドルの周りを明るく暖かくするという機能の面も、さらに人の心の中も素敵にあたためていければと考えているからだ。そう、福井さん自身がその世界を魅了されたように。
キャンドルを制作する際には燃え方や蝋の溶け方、溶け終わるまでの時間までも繰り返し試して最適な大きさにしているという。フロストピラーも、何度となく実験を繰り返し蝋だれを極力抑えて美しく燃えることを考えて完成させた。そのゆっくりと形を変えていくキャンドルに人々は時間を忘れて魅了されるだろう。

もうひとつのこだわりは、立体であること。ただ単に立体であることではなく、しっかりとした独自性をもったものでなければならないと彼女は言う。今ではもうひとつの代表作となった「Snow Wing」がまさにその立体感を端的に表している。一つ一つの羽をキャンドルでみごとに表現している。キャンドルの灯りで羽の陰影が出来る時、より立体感が強調される。
キャンドルはかたちを作るのが難しい。キャンドル成形は液体の状態の蝋から固体になる一瞬が勝負。他のことが出来ない。何かやりながらは出来ない。集中力と頭の中の明確なイメージが必要なのである。だからこそイメージ通りの作品が出来上がったとき充実した気持ちになる。それにもましてうれしいのが、誰かにプレゼントとして彼女の作品を購入した時だという。

「新しいステップ」
今、新しく素材として挑戦しようとしている蝋がある。それは蜜蝋。天然で煙が少ないというのが最大の特徴だが、他にもほのかな蜜の香りも持っている。天然ならではの全体的に黄みがかった色など普段福井さんが扱っているホワイト系の色とは印象の異なる色味である。この蜜蝋を使って今後商品ラインを拡充していきたいと考えているそうだ。雪国の色彩感覚がどう融合して新たな「福井ワールド」の一部となるのか。プログレッシブ(進歩的)な作品に期待したいと思う。

(2011年12月)

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公式サイト
 Progressive Candle