木工家 高橋三太郎さんが語る札幌の魅力

高橋さんは現在、札幌の郊外の小別沢(こべつざわ)にお住まいですが、この土地を選んだ理由や思いをお聞かせください。

この土地自体は、家具作りをはじめる前からだから、25年位前から知ってる場所だったんです。 まぁたぶん土地ってのは、縁ですよね。で、たまたまこの場所が使えるよ、っていう話を聞きましてね。地主さんに会いに行って・・・。ここは僕らが引っ越してくる前は、ほとんどゴミの山だったんですよ。もう、道路を歩いててもゴミが見える位の場所で。
で、そのゴミを片付けるっていう条件で、いろんな手助けを受けて、家を工房と住まいを建てて移り住んだんです。街にすごく近いし、木が多いしね、面白い場所だと思います。

名古屋出身の高橋さんが感じる札幌の魅力とはどんなものでしょうか?

ひとつは街。札幌のスケールがいいですよね。そんなに田舎でもないし、東京のように密集もしてないし。で、ちょっと動くと、このように森があるし。たとえば玄関を出て、10分も行くと、盤渓スキー場があるんですけど、盤渓スキー場ってのは中央区なんですよね。人口が100万人を超える都市で、中央区にスキー場があって、子どもたちが地下鉄に乗って、バスに乗って10分位でスキー場行く、ってのは、やっぱり象徴的な面白さですよね。

以前、高橋さんはご自身の原風景は北だとおっしゃられたと記憶していますが、それはどのような意味があるんでしょう?

僕は二十歳過ぎのころ、3年位、まぁ、いわゆる放浪した時があるんです。最初にシベリア経由で着いた街っていうのがヘルシンキなんです。そこで、ヒッチハイクとかいろいろしながら、いろんな人と知り合って、ノルウェーとスウェーデンの国境沿いの小っちゃな村にひと月位滞在した時に、すごく自分の気持ちが落ち着くというか、まぁいわゆる波長が合うといいますかね。そういうことがあって、それ以来ずっとその3年の旅が原点として残っていましてね。そのころからもう、帰る場所っていうのは出身地の名古屋じゃなくて札幌、っていう気持ちがありました。
で、実際に札幌に帰ってきて、もう名古屋よりも札幌暮らしが長いんですけれど、やっぱりいちばん自分に馴染む場所だと思っていますね。

季節的にいうと、どの季節が好きですか?

僕は一年中好きですね。僕はスキーとかスノーボードをしますから、雪は雪で楽しめるし、雪が解けてきて春になると、それも嬉しいし。これからチラチラ雪が降ってきてね、その前後の紅葉もきれいですしね。で雪が降れば降ったでさっきも言ったように、スキーやスノボという楽しみがあるんで、面白いんです。

芸術家の方で札幌にアトリエを構える方は結構いらっしゃると思うんですが、創作意欲に何かプラスになるような風土があるのでしょうか?

まぁ人それぞれだと思うんですけれど、やっぱり自然の豊かさっていうのは、僕はベースになってくるような気がします。たとえば、暮らしのスタイルというか、豊かさみたいな部分。東京ですとお金が無いと貧しくなっちゃうけれど、北海道、札幌ですとお金がなくても、その人のやり方によって楽しめる。それは季節であったり、自然であったりすると思いますが、場が持っている豊かさっていうのは、すごく大きいと思いますね。

札幌暮らしに満足してらっしゃいますか?

ええ、僕はそれはもう十分満足しています。

これからもこの地で制作を続けてらっしゃいます?

そうですね、ここで居を構えてますからね。札幌暮らしに十分満足していますし、一番気に入ってるし。ここでたぶんずっとやってくんじゃないですかね。

(2002年11月13日・吉村卓也)

※この記事は、2002年12月から2010年3月まで運営された「ウェブシティさっぽろ」内の「さっぽろの横顔」で紹介した記事を転載しています。

公式サイト
家具工房 santaro

認証製品詳細
santaro works

高橋三太郎 (たかはし さんたろう)
木工家。家具工房santaro主宰。1949年 名古屋生まれ。ヨーロッパ・イスラエル・アメリカ・メキシコ遊学の後1974年北大中退。個人のオーダーによる家具の製作を主に、大きな建築空間での家具のデザイン、製作(札幌コンサートホールKitara)の大ホール・小ホールの客席椅子デザイン、かでる2・7のベンチなど)のほか道内で多数の家具やベンチなどのデザインを手がけている。

小別沢のアトリエ

小別沢のアトリエ

高橋三太郎さん

高橋三太郎さん

作品

作品のイス