山内ビニール加工株式会社 営業部部長 山内浩二さん

山内浩二さん

山内ビニール加工株式会社 営業部部長 山内浩二さん 山内浩二さん。 「仕事が楽しい。色々な人に会って輪が広がって、幸せを感じます。人や、何かへの出会いから自分にないものを受け入れることによって充実した人生になると思います」。

「ひとめぼれでした。求めていたものがこれだったというような感じ。すぐに製品のイメージがうかびましたね」と「さくらシート」のデザインを見た瞬間を語るのは、開発・販売を行う山内ビニール加工株式会社 営業部部長の山内浩二さんだ。

穏やかな印象の青年が力強く語る。きれいな桜の下に青いビニールシートが敷かれた災害現場のような写真を株式会社佐藤デザイン室の佐藤さんに見せられて、景観を壊さないレジャーシートのコンセプトに共感したのだという。山内ビニール加工は1962(昭和37)年、新聞記者だった山内さんの父と、証券マンだった叔父が当時の北海道と日本の経済の流れをよみ、新素材のビニールがこれから社会に求められると予測、会社を設立した。通帳を入れる袋、ビニール袋、販促用品など、生活の場面で使われる、ビニール関連商品を一手に受けおっているのは道内唯一の企業といわれる会社に成長した。小学生のころは父親の読んでいた経営者向けの雑誌「プレジデント」などを読んで面白いと思っていた。スポーツも好きで野球・バレーボール・レスリング・ラグビーと多彩な競技経歴を持つ。「人と違うことをしたかった」少年は様々な経験をつむ。

高校時代、勉強することが思い描く将来像と結びつかず苦悩していた。学校に行かない日々もあった。自然の中で釣りや山菜取りをしていた。大学に入って妹の一言に救われる。「いい加減にしなさい」と、だれに言われるよりも響いた。小さいころに思い描いていたものに立ち返る。そして26歳で遅い入社。苦しみは無駄にならない。勤めてからはどんな困難にもめげない人間になっていた。

今までにない素材を使い、イメージ通りの製品に仕上げるには多く課題を解決しなくてはならなかった。目指したのは和風のテイスト。それを表現するために、主に和菓子の包装に用いられる和紙のような質感不織布を採用した。しかし、人がのるシート。お菓子を包む小さなものとは要求される強度が違う。職人たちは「面白いね」というものの、実現を懸念する。それでも、彼の誠意と熱意で、素材を共に研究するうちに、接着剤を使わず素材そのものの融解を利用して接着する方法を編み出すなど、開発の目途がたっていく。会社内でも賛成・反対が二分するなか、経営者の決済がおりるところまでこぎつける。「さくらシートを作って売ることによって会社の成長になる」という思いは誰も止められなかったのだ。

今まで受注発注が中心だった業務の中で、初めて戦略的に在庫を抱えることに踏み切った。デザイン事務所と工場と販売が応分にリスクを抱え、商品を世の中に問うのだ。これからは、この街の仲間と一緒に利用場面を想定した企画やデザインから、ものづくりを考える。この形でのものづくりこそ必要なんだ。さくらシートは札幌市経済局が提案するデザインを切り口にした札幌発のブランド「札幌スタイル」そのものだという。

たたむ前の三角財布
たたむ前の三角財布

三角財布
たたんだ状態の三角財布。1枚のビニールを4つのスナップで留めると財布になる。創業者の山内さんの父のアイディアから生まれ、低コストの商品ながら金融機関などの粗品として大ヒット。国外にも配られた。

佐藤裕子さんデザインのさくらシート
佐藤裕子さんデザインのさくらシート

(2007年4月27日)

※この記事は、2002年12月から2010年3月まで運営された「ウェブシティさっぽろ」内の「さっぽろの横顔」で紹介した記事を転載しています。

公式サイト
山内ビニール加工株式会社

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